ドクター谷垣の残した「報告書」
谷垣外科医が残した多くの報告書のうち、公開可能と考えられるものが3冊存在します。
先に紹介した「地方外科の実践ガイド」はタイトルの通り、アフリカ、ニジェールの地方において、援助国やそれに追従する傾向にある政策にも耐えうる外科を目指したもので、2007年に作成されたものです。
日本の医療現場では想像できないかもしれませんが、そのことが日本とニジェールの差であり、先生自身が悩んだ末に見出した、地方の実践外科を記したガイド(手引書)です。
残る2冊は、地方の生活を実際に調査しながら、先生自身がかすかな可能性を頼りに、その有意性を見出し、そのようなステージにおいて、支援してくれたNGOへの報告として記されたものです。そのような意味からも、これらの報告書は支援していただいた一人一人に向けた谷垣医師からの報告書として、公開すべきと判断しています。作成は2017年です。
谷垣先生は日本語の報告書を作成したかったと記しています。
〈ニジェールの医学生はヒポクラテスの誓いを宣誓して医師になります。 ヒポクラテスの誓は、患者の家に通されたとき、家の中で見たこと、患者から打ち明けられたことは口外いたしませんとの短い宣誓です。 ニジェールの医療責任者への活動報告はニジェール公用語でしますが、お世話になりました日本の皆様に、日本語でご報告することは、ヒポクラテスの誓いを考慮して、控えるべきところがあると考えたことによります。 〉
ニジェールと日本両国の共通語と考えられる英語を使用することで「透明性」の保持を望んでいたと判断されます。
英文 報告書の6ページから、日本語の説明が挿入されています。
協力こそ必要で、敵ではないはずの政府、国際機関、援助機関との軋轢、あるいはそれ以上の仕打ちにあいながらも、どのようにして目標を見失うことなく、乗り越えたのか、そのことも私は知りたい。優しくもサラリと「ニジェールだからといって、手は抜かないでね。」と言う 静子さんの声も聞こえてきます。
ニジェール地方外科改善のためのパイロットセンター活動報告書
(フランス語版)
ニジェール地方外科改善のためのパイロットセンター活動報告書
(英語版‗一部日本語解説あり)
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