トゥアレグ 砂漠の民

6月に静子さんの油絵「トゥアレグ 砂漠の民」(仮称)の修復が完了しました。 さすがプロの仕事と感心しました。 まずは木枠への固定と安全で将来を考えた補強と修復法。原画重視と可逆性のコンセプト  詳細はともかく、 しっかりしていました。

実に静子さんの絵は想像力を刺激する絵です。さらにこの 絵には今回の修復後を含めて3枚の写真があります。何と、初めの絵には犬がいません!修復にあたられた方の話によると、後で何度か加筆した跡がみられるとのこと、犬もどうやら後で追加されたのでは、、 とのことでした。

 今回紹介する1番目の写真は2020年6月、修復直後の写真です。2番目の写真は2017年、ご主人の雄三医師が亡くなった後にテッサワの自宅で見つかった時のものです。そして3番目の写真が、描かれた当初のものと推定されます。当初の絵の写真は残されたアルバムの中から発見されたもので、1980年代に描かれたものと推定されます。

これらの経緯だけでもこの絵には「不思議」の要素がたくさんあります。しっかり整理して、そのことをまとめなければならないのでしょうが、絵の方が語りかけてくるものですから、まずはそのことから紹介させていただきます。

私が、、絵から語りかけられたことは、

  1.  やっぱりトゥアレグはイケメン。(「風とライオン」の映画でショーンコネリーが扮した役はベルベル人ですが、いわゆるトゥアレグ族の仲間です。)  
  2. 犬はアザワク犬でトゥアレグにとっては家族です。  https://ameblo.jp/41-95-91/entry-12054283073.html  
  3. 左の赤ん坊を抱いた女性の足は安定して、少し男性に物申している感じ、、  
  4. 右の女性の足はボッティチェリのビーナスのように不安定で、少し男性から遠のくしぐさで傾いている。 
  5. その男女の中間にアザワク犬が困った様子、  
  6. 後ろのテントの子供は心配そうにこの様子を見守っています。
  7. イケメン トゥアレグは子連れの女性の近い距離にいるものの、、 その足は若い女性の方に向きラクダの手綱を手にして腕組、、  
  8. 傾きかけた太陽は砂漠の砂を赤く映し、砂丘の影は紫に、、 

・・静子さんは、このような状況を見たままに描き、感じたままに色を置いたのかもしれませんが、トゥアレグの生活が凝縮され、表現されている、、そんな一枚と、感服しました。 皆で、トゥアレグって何?とか、アザワクは? ここは村なのか近くに誰かいるのかいないのか? どんな生活をしているのか? 一夫多妻、白いトゥアレグ、黒いトゥアレグ、十字軍(?)、青い民、、、 この絵を見ながら、いろいろなことを語り合うことで、絵の価値も付加され、  この絵の力と伝えている情報やストーリー、 これらのことにより絵自身も成長する。そんな風に思いました。


ニジェールの外科医と静子さん

ニジェールのテッサワにて、外科医として生きた谷垣さん、 そして彼の苦難を包み込み、しなやかな視点と感性で、 目の前の情景を描き続けた静子さん。 ここでは二人の生き方と描かれた絵の数々を紹介します。 #アフリカ, #ニジェール, #テッサワ, #谷垣雄三, #谷垣静子, #外科医, #画家, #砂漠

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